hippoTV動画第四回放送インタビュー
【 浮世絵彫師 朝香元晴 】
━━━この髪の毛の細い線これも小刀でしょうか?この技術にようするにはどれぐらい修行が必要ですか?
- 今ほんとに、この彫りの技は20年30年修行を積まないと、繊細な彫りですのでこれは粗いので1mmに3本くらい1mmに5、6本も彫ります。
━━━すごい!1本入れるのに、縦に入れてそのあとななめに入れてそぎ落とすのですか?
- 初め軽く入れて、だんだん力を入れていくのでこういう風にスーって彫って、だから初めのところは0.01mmくらいの深さで、最後は0.1mmくらいの深さになっているんですね。
━━━産毛じゃないですけど、生え際ってそういう細い感じに思えますが?
- 江戸時代には彫巳のとか彫竹って言いまして1mmに6、7本彫った名人がいたんです。僕は3、4本しか彫れない、若手だったのが、ご年配の方が亡くなって今僕しか細いのを彫れる人がいなくなりました。だから1日も早く若い人たちにこれを伝承して続けてもらいたいなと思っていますね。
━━━これがどうやって版画になるんでしょうか?
- 僕は北斎の「神奈川沖浪裏」っていうのを彫りましたのでこれは北斎なんですが、骨格になる線、これがおも線ですね。
すみでいうとまずこれを擦っていただいて、次に黄色を彫るんですね。
これをするとこういう風にでここに、ネズミの線がありますね。
これを彫って、こういう形になります。
━━━最後のこの濃い色を入れるだけで奥行きというか迫力が違いますね?
- 最後の色で完成ですが、ここで引き締まって神奈川沖浪裏の完成になります。
一番いけないのは波しぶきがずれちゃうと波しぶきが見えなくなっちゃいますのできちっと藍の部分もねずみの墨も入れなければいけない。
この鍵とひきつけの見当、この見当を合わせると、今、約9色入れたんですが、9色でこの絵が完成されるわけですね。
━━━どうやって世界に発信するのでしょうか?
- 僕は先生の仕事をやらせて頂くようになって、浮世絵の着目点は日本人より海外の方のほうが多いもんですから、ヨーロッパとアメリカ大陸と交互に浮世絵活動をして、世界の人に浮世絵の素晴らしさを知っていただこうというのが、今一番力を入れていて、そのために学びたいっていう人もきますので、日本の後継者育成とともに、海外の方で日本の伝統を学びたいっていう人が多いもんですから、求める方には、元気な間に伝えていきたいっていう思いがあります。
━━━ご自分の作品も大変だと思うけど、海外の活動が多いのはなぜ?
- 今60歳になった時に、浮世絵普及活動をする事で、世界の方が浮世絵を求めてますので、世界から学びに来ると、日本人がそこに触発されて、僕が若い人たちの、後継者の見本作りになろうと世界の方がこれだけ浮世絵を求めていますよと、世界に出れば仕事もたくさん来ますので、浮世絵の彫り師をしてて、摺り師をしててよかったなという、今僕は、礎を築いているんですね。
━━━彫りの伝承人、朝香さんにとって、日本の伝統文化、彫りの素晴らしさとはなんなんでしょうか?
- 僕たち、江戸時代の伝統を受け継いだ彫り師は絵師の描いた線をいかに忠実に彫るか、筆表、筆裏をしっかりですね、朝香流じゃなくて、北斎の線、広重の線、歌磨呂の線を忠実に復刻するのが僕たちの使命だと思っています。
そしてその伝統技術、20年30年って時間がかかるかもわかりませんが、若い人たちがそれを日々知って頂いて、後継者が本当にあとを続くような形で今、文化庁の方にも経済産業省にも呼びかけて頑張っていますので、これからもこれをきっかけに、もっともっと力強く、若い人たちに伝えていきたいなと思っています。
【浮世絵彫師 朝香元晴(あさか もとはる)】
浮世絵彫師の朝香元晴さんに日本伝統の継承について【心・技・体】を追求しました。
17歳のときに木版画彫師の菊田幸次郎に弟子入り。17年間の修行の後、浮世絵出版社の専属彫師などを経て、1999年に摺師の菱村敏氏と「匠木版画工房」を設立。浮世絵木版画や現代版画を数多く手がける。
それを手がけたのが、今回の伝承びと、朝香元晴さんに木版画の世界についてきっかけ、これからの作品について語って頂きました。
浮世絵彫師 朝香元晴(あさか もとはる)
Motoharu Asaka
1951年、静岡県生まれ。17歳のときに木版画彫師の菊田幸次郎に弟子入り。17年間の修行の後、浮世絵出版社の専属彫師などを経て、1999年に摺師の菱村敏氏と「匠木版画工房」を設立。浮世絵木版画や現代版画を数多く手がける。
朝香元晴さんの工房は、匠木版画工房ふれあい館(朝香伝統木版画教室)。
日本固有の文化遺産であり、江戸時代に花開いた浮世絵!!
19世紀中半にはゴッホやモネをはじめ、欧州の印象派の画家たちに多大な影響を及ぼすなど世界に誇る芸術作品となった浮世絵を高度な伝統技術で忠実に復刻・継承に全勢力を注ぎ込んできた高見澤遠治。
その再興を果たした高見澤忠雄先生に師事し、意図を受け継ぎ伝統を守り、育て、後継者育成の為に浮世絵彫師・朝香元晴が創設したのが、匠版画工房ふれあい館です。
この工房は新宿と云えども、下町のように心やさしい人情味あふれた方々が多く庶民的雰囲気を漂わす所で、近くには児童館や保育園、そして近隣の方々に愛される美しい、さくら公園もあり静かで木版画制作や木版画教室に相応しい素晴らしい所です。
匠木版画工房ふれあい館にて教室開催中です! ⇒http://takumihanga.com/%E6%95%99%E5%AE%A4%E6%A1%88%E5%86%85/
昨年アメリカへ、浮世絵ワークショップが開かれました。<ワークショップの記事です。> ⇒http://ecocolo.com/journal/art/001376.html
浮世絵彫師 朝香元晴 の作品は下記にて購入できます。 ⇒http://edohanga.jp/thirty-six_views_of_mount_fuji/the_complete_set_of_thirty-six_views_of_mount_fuji/
公式ホームページはこちら ⇒http://takumihanga.com/